監修者:谷澤 佳彦(税理士)
商品やサービスを納品した後、その対価を回収するために請求書を発行し、取引先への代金の支払いを求めます。これが請求業務となります。
請求業務は、ミスが許されないうえに月末月初に集中することが多いため、経理担当者の負担は計り知れません。この記事では、請求業務の主な業務フローや注意点、請求業務の課題、業務効率化の方法などについて詳しくご紹介していきます。
請求業務とは、販売者が商品やサービスを提供したあと、購入者から代金を回収するまでの一連の業務を指します。まずは請求の種類や役割、業務フローなどについて詳しくみていきましょう。
請求業務には、一定の期間まとめて請求する「締め請求」と、購入の度に請求する「都度請求」の2種類が存在します。
<締め請求>
締め請求は、取引先とあらかじめ取り決めた「締め日」と「支払日」をもとに、一定期間の取引をまとめて請求するものです。この締め請求は、「与信取引」や「掛け取引」とも呼ばれます。一般的には1ヶ月分の取引をまとめ、毎月20日、末日などが締め日とされることが多いでしょう。継続的な取引があり、信用上も問題ない取引先との間で行われる請求方法です。
<都度請求>
都度請求は、購入されるたびに請求するものです。一つの取引ごとに請求業務を行います。単発的な購入の際や、新規の取引でまだ信頼関係が築かれていない場合などに行われることが多いです。
請求書の役割は、提供した商品やサービスに対する対価を回収することです。取引先からスムーズに代金を支払ってもらう上で、重要な役割を担っています。
請求書は、作成・送付することにより、間違いなく取引があったことを証明することができます。請求書の内訳には、サービス名称や品目、個数・金額などの記載があるため、請求漏れや未払いなどのトラブルがあったときの証跡としても有効です。また、税務調査で会計処理や取引の証明が必要となる際、請求書は証票としても使用できます。
一般的な請求業務のフローは、次のような流れです。
まず、締め日までに発生した取引内容を漏れなく確認し、その内容・数量・単価から請求金額を算出します。もし請求金額を誤ると取引先からの信用を失ってしまう恐れがあるため、精緻に計算し、慎重に金額を確定することが重要です。
確定した請求内容をもとに作成します。宛先と請求内容を違えないように注意が必要です。発行するときは、印刷した後に自社名や住所が記載されている部分の右側に社印を押印するのが一般的です。
発行した請求書を封入れして送付します。従来は郵送で送付するのが一般的でしたが、近年はメールやシステムを利用して電子データで送るケースも増えています。
請求書の作成・送付方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:「請求書の作成・送付の基本は?書類の役割やスムーズな発行のポイント」
関連記事:「請求書をメールで送る際のマナーや文例は?注意点を押さえて業務を楽に」
請求書の送付後、代金は取り決めた支払日までに入金されます。入金があった後は消込を行い請求業務は完了となります。
取り決めた支払日に入金がなかった場合には、取引先に支払ってもらうように連絡します。まずは電話やメールなどで未回収となっていることを伝え、応じない場合は催促状を送付します。さらに応じない場合は督促状を送付する流れが通常ですが、状況によって対応が異なります。
入金消込について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:「入金消込とは?作業の流れやよくあるトラブル、業務の効率化を解説」
請求業務は、売上に直結する代金の回収までつながるものであるため、正確な処理が求められます。業務を進める上では、次の点に気を付けましょう。
請求書の記載内容が合っているか、発行前にしっかりと確認することが大切です。宛名、請求項目の内容、発行日など基本的なことですが、作成の度にきちんとチェックしたほうが良いでしょう。また、同じ商品やサービスでも、取引先によって単価が変わるケースがあります。単価や数量の間違いがないように、正確に記載しましょう。
請求書の書き方に不安がある方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:「請求書の正しい書き方は?作成方法やマナーとあわせて徹底解説」
請求業務のミスで多いのが、宛先の間違いや送付漏れです。請求書に記載された宛先と実際の送り先を間違えてしまうと、双方の取引先に迷惑をかけることにつながります。また、送付漏れがあると入金にも関わりますので、間違いなく送付されているかしっかりとチェックしましょう。
送付した請求書の控えを電子データで保存する場合、ただ保存すればよいわけではなく、電子帳簿保存法で定められた保存要件を満たす必要があるので注意が必要です。
また、2023年10月のインボイス制度開始後は、従来の請求書とは形式・内容が異なる「インボイス(適格請求書)」を発行しなければならないケースがあるため、制度開始前に事前に要件を確認し、準備しておく必要があります。
電子帳簿保存法、インボイス制度について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:「【完全版】電子帳簿保存法とは?電子データで保存できる帳簿種類とその手続きについて詳しく解説」
関連記事:「インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは?今とるべき対応を徹底解説」
請求業務は、各工程で手間がかかるものであることや、業務の工程が複雑でミスが起きやすいことなどの課題があります。以下で詳しくみていきましょう。
請求業務は、作成の準備から発行、封入れ、送付、入金管理まで業務の工程が多く、経理担当者にとっても負担が大きいものです。手作業で行う工程もあるため、多くの手間がかかります。また、毎月20日、末日など締め日に業務が集中してしまうのも、負担を大きくする要因の一つでしょう。担当者によっては、請求業務の時期は他の業務に手が回らないというケースもあります。
請求書の作成やチェック、封入れなど、人が行う業務ではヒューマンエラーが起こりやすくなります。業務内容が煩雑で一定の期間に集中するため、気をつけていてもミスが起きてしまうケースが少なくありません。
工程が複雑なわりに、正確性も求められる業務であるため、経理担当者の身体的・心理的負担の増加にもつながります。
負担の大きい請求業務ですが、業務効率化と正確性向上を図りながら、負担を軽減していく手段も存在します。ここでは、「アウトソーシング」と「システム導入」の2つをご紹介します。
請求書の作成、発行、送付までをすべてアウトソーシングすることで、請求業務の手間を削減することが可能です。アウトソーシングとは、業務を代行してくれるサービスのことを指します。請求業務のような毎月定期的に行う業務をアウトソーシングして丸ごと無くすことができれば、毎月の経理業務の負担は少なくなるでしょう。
サービスによっては、入金催促や入金消込までできるアウトソーシングもあります。業務のどの部分を代行してもらうか、会社の人材配置やコストなどを考慮して検討すると良いでしょう。
請求書発行業務をアウトソーシングする方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:「請求書の発行業務を外注するメリットやデメリットは?サービスの選び方も解説」
システムを導入することで、請求書の作成や印刷、封入、発送などの作業が効率化され、大幅に業務の手間を削減できます。自社の既存システムからデータを連携して請求書を作成したり、作成した請求書をパソコンからそのままメール添付で取引先に送付したりと、ペーパーレス、かつ短時間で業務を進められます。業務工程をシステムで自動化すればヒューマンエラーがなくなり、正確に処理が行えるようになる点も、システム導入のメリットでしょう。
アウトソーシングのように、自社の機密性の高い情報を外部に開示する必要もないため、セキュリティ面でも安心です。
請求書発行システムについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:「税理士から見る請求書クラウドシステムのメリット」
関連記事:「電子請求書発行システムとは?導入メリットとおすすめのシステム20選」
最後に、請求書発行業務を効率化できるシステム「楽楽明細」をご紹介します。
電子請求書発行システム「楽楽明細」は、請求書、納品書、支払明細、領収書など、あらゆる帳票を電子発行できるクラウド型のシステムです。請求データ(CSVまたはPDF)をアップロードするだけで、取引先に合わせて「WEB」「メール添付」「FAX」「郵送代行」のいずれかの方法で自動発行できます。
請求書を電子化することで印刷、封入、発送作業がゼロになるため、請求書発行業務の手間を大幅に削減できます。また、手間だけでなく、紙代や封筒代、郵送代などの経費も削減できます。
請求業務の負担を軽減したいとお考えの方は、ぜひ電子請求書発行システム「楽楽明細」の導入をご検討してみてはいかがでしょうか。
1993年に税理士資格を取得し、「谷澤佳彦税理士事務所」を開設。近年は相続・事業承継に対する税務相談を数多く対応する。
司法書士や不動産鑑定士など他の専門家とタッグを組み、組織として企業の繁栄・事業承継をサポートすることも得意とする。
谷澤佳彦税理士事務所※ 月の発行件数500件の場合の月間の導入効果(ラクス調べ)
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