領収書のペーパーレス化を進める際は、電子帳簿保存法で決められた要件を満たさなければいけません。中でも、書類の改ざんを防止するために必要とされるのがタイムスタンプです。
領収書を電子化する際、タイムスタンプを付与すべきか悩む担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、電子領収書におけるタイムスタンプの必要性やケースごとの対応方法について解説します。また、電子領収書に付与するタイムスタンプの基礎知識などもお伝えするため、ぜひ参考にご覧ください。
タイムスタンプとは、電子文書が特定の時刻に存在しており、データが改ざんされていないことを証明できるものです。電子データの作成者を明らかにしたい場合は「電子署名」が有効となりますが、それだけでは作成時刻までは判断できません。タイムスタンプを付与することで、書類が存在した日付や時刻を確認できるようになります。
タイムスタンプは、電子データの「ハッシュ値」に時刻情報を付与して生成されます。ハッシュ値とは、ハッシュ関数を用いて元データを置き換えた、不規則な文字列のことです。以下のように元データの情報を暗号化し、特定の難しい文字列へ変換します。
元データ | 変換 | 暗号化後 |
---|---|---|
これはペンです。 | → | Jge80egj90j90regdebl02n4iif9me |
これはパンです。 | → | Dmkoeuio03nore897mklewt45itio |
上記の表のように、元データが1文字でも変わってしまうと、ハッシュ値の値は完全に異なるものとなります。電子書類の内容が改ざんされた場合、作成時のハッシュ値と一致しなくなることから、不正があったことを検知できます。
また、タイムスタンプを発行できるのは「時刻認証業務認定事業者(TSA)」と呼ばれる第三者機関です。データの真実性を担保するために、信頼のおける機関へ依頼することになります。タイムスタンプの利用時は第三者機関と契約する、もしくはタイムスタンプ対応のシステムを導入するといった方法が一般的です。
電子領収書にタイムスタンプが必要になるかどうかは、状況によって変わります。具体的には、電子帳簿保存法における「スキャナ保存」と「電子取引データ保存」に該当する一部のケースで必須とされます。
電子帳簿保存法におけるデータ保存の区分は、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3種類です。電子的に作成した文書をデータ保存する場合は「電子帳簿等保存」、紙の書類をスキャンしてデータ保存する場合は「スキャナ保存」、電子データとして受領した書類をデータ保存する場合は「電子取引データ保存」の要件を満たさなければいけません。
2022年の電子帳簿保存法の改正により、タイムスタンプの要件が緩和されました。2024年12月時点では、「電子帳簿等保存」の区分で保存する際、原則としてタイムスタンプは不要です。「スキャナ保存」と「電子取引データ保存」の区分でタイムスタンプが必要とされるケースについては、次の見出しで詳しくお伝えします。
参考:国税庁「電子帳簿保存法が改正されました」
電子領収書は、電子帳簿保存法で定められた「真実性」や「可視性」の要件を満たして保存することが求められます。データの削除・改ざんを防止するために真実性を確保する要件を満たし、書類をいつでも検索・表示できるように可視性を確保する要件を満たします。
真実性の確保に必要なのがタイムスタンプの付与です。ここでは、電子領収書の保管時にタイムスタンプが求められる具体的なケースをご紹介します。
紙の領収書をスキャンして、電子ファイルとして保存する場合は、スキャンデータが勝手に手を加えられていないことを証明するため、タイムスタンプの付与要件を満たす必要があります。その際は、例えば「3枚で構成されている請求書は1セットとしてまとめて1つのタイムスタンプを付与する」といったように、1セットごとにタイムスタンプを付与します。
ただし、書類の訂正・削除を実施した際に履歴が残るシステムを使用している場合は、タイムスタンプは不要とされます。こういったシステムを利用せず、訂正・削除の履歴を残せないスキャナで保存する場合は、タイムスタンプを付与しなければいけません。
クラウドサービスや電子メールなどを用い、PDFファイルなどの電子データとして受領した領収書は、紙ではなく電子データとして保存しておく必要があります。特に、以下の条件に該当する場合は、真実性を確保するためにタイムスタンプの付与が必須です。
【POINT】領収書の発行側の対応は?
電子領収書の発行者にタイムスタンプの付与義務はありません。ただし、領収書やレシートなどの書類は企業にとって大事な証憑です。修正・削除履歴が一目瞭然となるような仕組みを整えることが望ましいでしょう。また、控えをデータ保存する際は、電子帳簿保存法に準拠した対応をする必要があります。この点を踏まえても、要件を満たせるシステムを導入しておくと便利です。
タイムスタンプを付与する際は、定められた期限や費用について確認しておきましょう。以下では、領収書のタイムスタンプで気をつけておきたいポイントを解説します。
2022年の電子帳簿保存法改正により、タイムスタンプを付与できる期間が変更されました。データの保存後、「2カ月と概ね7営業日以内」に付与しなくてはいけません。期限を過ぎないよう、早めの付与を心がけましょう。
タイムスタンプの付与方法には、主に以下の2種類があります。
どちらの方法でも初期費用やランニングコストがかかります。月々に決まった費用を払う定額制のところもあれば、利用回数に応じた従量制を採用しているところもあるため、自社に合うサービスを比較検討してみましょう。
電子領収書の保管時、条件次第ではタイムスタンプの付与が必要になる場合があります。法律で定められた要件に対応できる仕組みを整えることが重要です。しかし、時刻認証業務認定事業者と個別で契約する方法の場合、自社内で複雑な要件を満たすためのオペレーションを構築しなければなりません。しかし電子帳簿保存法対応の電子帳票発行システムを活用すれば、簡単に要件を満たす形で発行・保存できるようになります。
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「楽楽明細」は電子帳簿保存法に対応したシステムです。データを修正・訂正した際の履歴を管理できるため、領収書の控えを適切に保管できます。発行側が守るべき要件をきちんと満たせるでしょう。
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領収書の発行側では、タイムスタンプの付与が義務ではないものの、電子領収書の修正や訂正の履歴管理ができる状態が望まれます。「楽楽明細」なら、システム側で要件をクリアしているので安心です。タイムスタンプの要件に沿うようなオペレーションを整えるよりも、「楽楽明細」のようなシステムで対応する方が簡単に領収書などの電子化を進めることが可能です。領収書などの帳票の電子化がお済みでない企業の担当者の方は、ぜひご検討ください。
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