企業を経営する上で、「業務改善」は永遠のテーマといっても過言ではありません。何気なく使用している言葉ですが、具体的にはどのような意味を持つのでしょうか。ここで、使い方を含めてご紹介します。
業務改善とは業務を遂行する中で「ムリ、ムダ、ムラ」を排除し、効率的に改善することを指します。この3つの要素はトヨタ生産方式として知られ、「働きに結びつかない動きをムダと呼ぶ」と定義され、コスト削減原理として考えられているものです。
「業務改善」における「改善」は、様々なシーンで使われる言葉です。行動や目的など抽象的なものに対して使用され、例えば「環境を改善する」「体質を改善する」のように使用されます。ビジネスシーンでは業務を的確に遂行する目的に対して、「業務効率を上げるために業務改善する」「コスト削減を目的に業務改善する」という使い方がよく聞かれるでしょう。
業務改善に直結する概念が「QCD」です。QCDは品質「Quality」、コスト「Cost」、サービスを届ける「Delivery」の英語の頭文字をとった略語です。この3つのキーワードは、以下のようにバランスを保つことで安定した業務を生み出すことに繋がります。
Q(Quality)・・・ 「品質は高く」
C(Cost) ・・・ 「コストは低く」
D(Delivery)・・・「納期は厳守」
QCDを向上させることで業務内容の質や付加価値も向上し、業務改善が期待できます。
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「経費削減」の「経費」とは、「利益を得るために必要な企業活動全ての費用」です。そして、それら経費削減を目的として行われた対策により生まれるのが「業務改善」となります。
例えば取引の記録を紙媒体で保存していると、保管スペースや書類を探す手間、印刷コストが必要です。しかし、紙媒体保存から電子データ保存に移行することで、保管スペースや書類を探す手間が省けます(業務改善)。そして印刷コストの削減にも繋がります。
ここで、具体的な業務改善事例を10選としてご紹介しましょう。
業務情報を個人ごとに管理していたA社では、ヒューマンエラーや情報を共有する手間が問題視されるようになりました。そこで、業務情報を共有できるクラウドシステムを導入。これによってヒューマンエラーの防止、情報を共有する手間の排除による業務改善に成功し、コスト削減にも繋がりました。
ある調査企業B社では、依頼内容に関係するもの全てを調査対象としていました。しかし「何が目的か」を事前にヒアリングすることで調査時間の短縮を図り、業務改善に成功しました。
創業当初から、新人社員が就業時間開始と同時に従業員全員分のお茶を汲んでいたC社。しかし、従業員全員が就業時間開始からお茶を飲める状況ではなかったために、お茶汲み当番を排除することに。その結果、約20分もの時間の業務改善に成功しました。
数カ月に1度、または年に1度行うイレギュラーな業務が多いD社。その手順を把握している従業員は少なく、しかし指導する時間が設けられなかった結果、不明点が生じる度に確認をしなければなりませんでした。しかし業務マニュアルを作成することで業務フローの手間を排除し、業務改善に繋がっています。
E社の海外案件担当者はビジネス英語を理解しているものの、案件成約になかなか結び付かないという課題がありました。そこで業務の見直しのため社内でヒアリングを行ったところ、海外留学の経験をもつ従業員がおり、担当変更を実施。海外案件を成功へと導きました。
F社では、社員の業務をサポートするアシスタントを雇用していましたが、「自分の仕事は自分で行う」というスタンスの社員が多く見られ、コア業務に専念するためのアシスタント雇用がムダとなっているケースが少なくありませんでした。そこで社員に対し、アシスタントへの依頼は業務改善に繋がることをアナウンス。その結果アシスタントの活用が促進され、業務改善に繋がりました。
コピー機がフロアの一番隅に設置されていたG社。しかし、その配置はコピー機を使用する多くの従業員がいるスペースからもっとも離れており、コピーの都度、移動に伴うムダが業務にも影響していました。そこで導線を考慮した配置に変更し、無駄を省く業務改善に成功しました。
残業時間の見直しが課題となっていたH社では業務の終了時間を定め、タスクをクリアする時間を把握するよう取り組みました。すると改善点が見つけやすくなり、業務時間を短縮することに成功。残業時間の短縮と共に、社員のモチベーションアップにも繋がりました。
打ち合わせや会議は事業を運営する上で重要ではある一方、実際にはムダが少なくありません。I社では打ち合わせや会議の進行役であるファシリテーターを設けたところ、会議の進行がスムーズになり効率性が高まりました。
PCによる書類やメールの作成を主に行う部署で、作業効率を目的にPCの入力補助機能を活用し業務改善を実現。入力補助機能とは、検索語入力欄にキーワードの一部を入力すると、検索キーワードの候補として、「関連検索ワード」が自動的に表示される機能です。また、PCの署名機能やショートカット機能の活用を徹底周知させた結果、PC作業の業務改善に繋がりました。
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上司から突然、「業務改善」を指示・命令されることは少なくありません。利益を向上させるために業務改善を考案し、業務改善報告書の提出を求められることもあります。
業務改善を行った際に提出する、業務改善報告書のテンプレートをいくつかご紹介します。業務改善報告書には、以下の項目が含まれているテンプレートを使用しましょう。
この他、宛先、タイトル、作成者の所属と氏名なども記載した方が望ましいでしょう。
▼テンプレート1(テンプレート・フリーBiz)
http://u0u0.net/WCln
▼テンプレート2(テンプレートフリーダウンロード)
http://u0u0.net/gyxW
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業務改善を考案する際には、フレームワークを活用します。フレームワークとは、業務改善や経営戦略の問題解決に役立つ思考やツールのことです。考えるべきポイントをパターンとして落とし込み、誰もが結論を導き出せるようにすることで、何が必要で何が課題となっているのかを論理的に導き出すことができます。以下は、基礎的なフレームワークです。
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PDCAとは、「P(Plan)計画」「D(Do)実行」「C(Check)評価」「A(Action)改善」の4つの頭文字を取ったフレームワークのことです。このフレームを軸に業務を遂行することで、螺旋を描くように1週ごとに4段階それぞれのレベルを向上させ、継続的に業務改善します。
3Cとは、「C(Company)自社」「C(Customer)顧客」「C(Competitor)競合」という3つの頭文字のⅭを取ったもので、市場、自社、競合といった業界全体の環境を俯瞰的に確認するフレームワークです。
企業がターゲット市場において目的を達成するために活用する、コントロール可能な施策の組み合わせをマーケティング・ミックスと呼びます。そして、マーケティング・ミックスでコントロールできる要素を4P(「P(Product)商品」「P(Price)価格」「P(Promotion)販促」「P(Place)流通」)と呼びます。この4Pについて分析するフレームワークが4P分析です。
4C分析とは、アメリカのノースカロライナ大学マスコミ学科教授、ロバート・ラウターボーンが提唱した方法です。4Cとは、「C(Customer value)顧客価値」「C(Cost)顧客コスト」「C(Convenience)利便性」「C(Communication)コミュニケーション」という4つのCを表しており、これら4Cについて分析するフレームワークが4C分析です。
SWOT分析とは、「S(Strength)内部環境の強み」「W(Weakness)弱み」「O(Opportunity)外部環境の機会」「T(Threat)脅威」の4象限について分析するフレームワークの事です。自社にとっての環境要因を整理し、市場機会や事業課題を発見することができます。
MECEとは、「M(Mutually)E( Exclusive) and C(Collectively)E( Exhaustive )」の頭文字を表しており、直訳すると「お互いに重複せず、全体に漏れがない」となります。要するに、重複なく、漏れ無く分析するフレームワークの事です。
5W1Hとは、「W(When)いつ」「W(Where)どこで」「W(Who)誰が」「W(What)何を」「(Why)なぜ」「(How)どうやって」の頭文字を表しています。5W1Hのフレームワークに沿って文章を構成すれば、伝えたいことが明確になり、過不足無く伝えることができます。
ロジックツリーとは、問題の要因をツリー上に図式化し、論理的に解決方法を探ることを目的として使うフレームワークです。
ランチェスターの法則とは、イギリスで誕生し、戦争で活用されていたフレームワークです。軍隊の強さ・力を示す戦闘力は武器と兵力数で決まるという法則です。ビジネス戦力にもこの法則が置き換えられるため様々な分野で用いられています。
マズローの5段階欲求は、「生理的現象」「安全欲求」「社会的欲求」「尊厳欲求」「自己実現欲求」と、人間が本質的に求めている欲求がピラミッド式に5段階にわかれています「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」という仮説をもとに、作られた理論です。
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業務改善助成金は、最低賃金が1,000円未満の中小企業や小規模事業者の生産性向上を支援するもので、事業場内で最も低い賃金の引き上げを計る制度です。生産性向上のための設備投資やサービスの利用などを行い、事業内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成します。
※下記サイトから一部抜粋
参考:厚生労働省「業務改善助成金」
https://www.mhlw.go.jp/gyomukaizen/
業務改善助成金は2つのコースから選択できるため、自社に合ったコースを選ぶ必要があります。
詳しくは、厚生労働省「業務改善助成金」をご覧ください。
正しい業務改善には、正しい進め方があります。場当たり的に業務改善を進めることで、逆に業務が悪化してしまうことも少なくありません。ではどのように進めていくのが正しいのでしょうか。以下に業務改善の進め方を5つのステップに分けてご紹介します。
業務改善を始める前に、まずは日々の業務内容を確認し、現在の状況を把握します。
やらなくても良い業務、減らせる業務、やり方や手順を変えられる業務はないか、業務内容を確認している中で出てきた問題を分析します。
洗い出した問題点に対し、どのような解決策があるのかを検討します。
検討した解決策を、実行します。この際、関係者に業務改善の目的と方法をしっかり理解してもらう必要があります。
解決策を実行した結果、業務が改善されたかどうかを、解決策実行前の状況と実行後の状況を比較し、評価します。
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ここで紹介した業務改善の方法はすぐにでも実行できるものばかりです。当コラムを参考に、ぜひ業務改善にチャレンジしてみてください。
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