電子帳簿保存法の改正により、請求書を含む帳票書類の電子化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速しています。請求書を電子化することには多くのメリットがあり、保管スペースが不要となるなど、経理業務の効率化が実現するでしょう。
帳票書類の電子化において特に注目されているのがタイムスタンプの役割です。タイムスタンプは電子データの信頼性と改ざん防止のために欠かせないものではあるものの、すべての場合において必要というわけではありません。個人事業主の方を含め、タイムスタンプの重要性は変わらないので、しっかりと対応する必要があります。
本記事では、請求書の電子化におけるタイムスタンプの必要性について、法改正によってどのように変わったのかを解説します。また、電子請求書の発行側と受領側、それぞれの観点からタイムスタンプの付与要件を確認していきます。
タイムスタンプは、電子データの信頼性を高める重要な技術です。タイムスタンプの基礎知識を理解すれば、電子データの保存や取引の透明性を確保するための方法について深く理解できるようになります。
タイムスタンプとは、電子データが特定の時点に存在しており、その後改ざんされていないことを第三者が証明する技術です。具体的には、データのハッシュ値(一意の識別子)と正確な時刻情報を組み合わせた証明書を、信頼できる第三者機関である時刻認証局が発行します。このプロセスにより、データの完全性(改ざんされていないこと)と時刻の正確さが保証されます。
ハッシュ値は、元のデータから生成される短い文字列で、元データが1ビットでも異なれば全く異なるハッシュ値が生成されます。この性質により、ハッシュ値の比較によって、データが元の状態のままであるか、すなわち改ざんされていないかを確認できます。
タイムスタンプは、電子帳簿保存法における電子データの保存要件の一つとして重要な役割を担っています。これにより、会計記録や契約文書などの電子データが、法的な証拠としての信頼性を有することが保証されるのです。
タイムスタンプの利用は、電子帳簿等の保存、スキャナ保存、電子取引など、さまざまな場面で必要とされます。特に、電子帳簿保存法では、スキャナ保存の際にタイムスタンプの付与が求められることがあります。ただし、電子帳簿等保存や一部の電子取引においては、タイムスタンプが必ずしも要求されないケースも存在するので注意が必要です。
タイムスタンプが付与されるまでの流れは、要求、発行、検証という3つの過程から成り立っています。
要求というのは、利用者が生成した原本データのハッシュ値を、時刻認証局(TSA:タイムスタンプを発行する第三者機関)に送付する過程のことです。
ハッシュ値とは電子データにおける指紋のようなもので、元のデータをハッシュ関数によって変換し、暗号化した文字列のことを言います。例えば、「私は太郎です。」という文字列を、SHA-1というハッシュ関数で変換すると、「72048a684f18d39b0b40eaf61819d20ac39c216d 」というハッシュ値が生成されます。
元データ | ハッシュ関数(SHA-1)で変換 | ハッシュ値 |
---|---|---|
私は太郎です。 | → | 72048a684f18d39b0b40 eaf61819d20ac39c216d |
発行とは、時刻認証局が、利用者が送ったハッシュ値と時刻情報を組み合わせて、偽造できない形のタイムスタンプを作成し、利用者へ送付する過程のことです。
時刻認証局に送られる時点で、原本データはハッシュ関数を使って暗号化されたハッシュ値の形になっているので、利用者は、電子データの内容を時刻認証局に知られずにタイムスタンプを取得することができます。
検証とは、原本データから生成したハッシュ値と、タイムスタンプに含まれているハッシュ値とを比較する過程です。
ハッシュ値は、原本データをわずかに変化させただけでも必ず変化します。同じタイムスタンプが複数存在することはありません。
元データ | ハッシュ関数(SHA-1)で変換 | ハッシュ値 |
---|---|---|
私は太郎です。 | → | 72048a684f18d39b0b40 eaf61819d20ac39c216d |
私は太朗です。 | → | 2dd26864fa59e4d1c30e 6ea954cc26063c38d003 |
つまり、原本データから生成したハッシュ値と、タイムスタンプに含まれているハッシュ値が一致していれば、タイムスタンプに含まれる時刻以降は、内容が変更されていないということになります。
タイムスタンプそのものの信頼性は、時刻認証局がデジタル署名を付与する、等の方法で担保されています。
2022年の電子帳簿保存法の改正によって、請求書を含む帳票書類の電子化に関する要件が大幅に緩和されました。改正前まで、タイムスタンプは主にスキャナ保存を行う際の要件の一部として組み込まれていました。したがって、必ずタイムスタンプを押すことが必要となっていたのです。スキャナ保存とは、紙の書類をデジタル化し、電子データとして保存するプロセスのことです。しかし、今回の改正によって、電子帳簿保存法下でのタイムスタンプ要件が緩和され、請求書の電子化と保存がより柔軟に行えるようになりました。以下では、改正の内容を解説していきます。
電子帳簿保存法の改正により、スキャナ保存においてタイムスタンプが不要になるケースが設けられました。これは、電子データの訂正や削除を含む変更履歴を確認できるシステムで保管する場合、タイムスタンプの付与が不要とされることを意味します。さらに、この改正により、請求書をスキャナで読み取る際の自署も不要となりました。これらの変更は、電子帳簿保存の手続きを簡略化し、事業者の負担を軽減することを目的としたものです。
タイムスタンプが必要になるケースも依然として存在しますが、その付与要件が大幅に緩和されました。例えば、請求書の再読み取りなど、特定の条件下でタイムスタンプが必要とされる場面があります。改正前はタイムスタンプを3営業日以内に付与する必要がありましたが、改正後は最長約2カ月と概ね7営業日以内に延長されました。この変更により、事業者はタイムスタンプを付与するための時間的余裕を持てるようになり、電子データの管理がより柔軟に行えるようになりました。
このように、電子帳簿保存法の改正は、請求書の電子化と保存におけるタイムスタンプ要件を大きく緩和しました。これにより、事業者は電子帳簿保存法の要件をより容易に満たし、効率的な文書管理を実現できるようになったのです。
電子帳簿保存法(電帳法)の下で、請求書などの帳票書類を電子化する際、タイムスタンプの付与が必要になる場合があります。しかし、すべてのケースでタイムスタンプが必要というわけではありません。ここでは、請求書の発行側と受領側それぞれにおいて、タイムスタンプが必要になるケースを解説していきます。
電子請求書の発行側においてタイムスタンプの付与は義務ではありませんが、修正や訂正の履歴がわかる状態を保つことが企業運営上望ましいとされます。電帳法対応の観点からも、タイムスタンプ、もしくは訂正・削除履歴を残せるシステムの導入を検討することが推奨されます。顧問税理士への確認も有効な手段です。
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電子請求書の受領側が、紙で受け取った請求書をスキャンして電子保管する場合、原則としてタイムスタンプが必要となります。電しかし、書類の訂正や削除などの履歴が残るシステムを導入すれば、タイムスタンプは不要になります。
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電子帳簿保存法(電帳法)などの観点から電子化が進んでおり、その一環として、電子請求書発行システムの導入が進んでいます。
請求書は、発行側・受領側ともに要件を満たしたシステムが導入されていれば、タイムスタンプは不要なためです。
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特に、請求書の発行側では、タイムスタンプの付与が義務ではないものの、電子請求書を導入するうえでの修正や訂正の履歴管理が望まれます。「楽楽明細」は、そのような要件をクリアするだけでなく、帳票発行状況のヒアリングから電子化に向けた提案までを受けることが可能です。導入も簡単で、電子化に向けたスムーズな移行をサポートします。
今から、タイムスタンプの要件に沿うようなオペレーションを整えるよりも、「楽楽明細」のようなシステムで対応する方が楽に請求書などの電子化を進めることができます。
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請求書のタイムスタンプについて、よくある質問をまとめました。
タイムスタンプの付与は義務ではありません。発行側・受領側ともに一定の要件を満たしたシステムを利用している場合には、タイムスタンプを付与する必要はありません。タイムスタンプは請求書などが改ざんされていないかを明確にするためのものであるというのがポイントです。
タイムスタンプもしくはシステムの利用が必要になる書類は以下のとおりです。
「楽楽明細」のコラムでは請求書や領収書、支払明細書などの各種帳票の発行方法や、経理業務を効率化する方法などについてご紹介します!
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